コミック34.「なのはな」 萩尾望都 小学館フラワーコミックススペシャル
「ここではない★どこか」シリーズを通し読みした勢いで、もういちど再読。今回の方が、落ち着いて読めた。
放射性物質三部作は、一番出来がいいと思えるのは、一番最初の「プルート夫人」。皮肉が効いていて、落ちのまとめもいいし。「ウラノス伯爵」は、前に感想を書いた通り、アンが伯爵に告白するシーンが、どうしても謎で、そこで引いてしまう。本人も言ってたけど、なんでどうして突然「愛してます」なんだろうねえ? 「サロメ」は、「プルート夫人」の焼き直しに見えて、その割りに「プルート夫人」ほどの破壊力がないから、もったいないかな、と思う。
「なのはな」の2作品に関しては、福島の日常を扱っているのが、ちょっと見ていて辛いというか、痛いというか。マンガにしてしまうと、リアルな現実が非日常に組み込まれてしまうようで、なんだかちょっと、感想が難しい。「なあんにもこわいことないぞう」という「ひかりの素足」のセリフを入れたかったのはわかるんだけれど、だからといって、それで安心できるものでもないし。マンガでは、現実を救えない厳しさを痛感してしまう。
上製本で出したら、ファンしか買わないからもったいないと、前に書いたんだけれど、せっかくこれ一冊でまとまっているんだから、学校の図書室とか図書館とか、喫茶店とか、そう言う場所においてもらって、みんなで回し読みできるといいね。と、そう言うことは思いました。
「ここではない★どこか」シリーズの4巻目として出したんでは、そのシリーズのみのファンしか読まないよなあ、と思えば、この巻だけ独立して出すのもありなんだろうか? と、考えたので、前言をちょっとだけ撤回というか、訂正しておきます。
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/03/07
- メディア: コミック
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