小説・一般19.「六ヶ所村の記録――核燃料サイクル基地の素顔」上巻 鎌田慧 岩波現代文庫
「なんでこんなことになっちゃったのか?」という疑問の答えを知りたくて、読んでみました。再処理工場の近くには太平洋と直結している湖沼地帯があって、広瀬隆さんの本では、津波の対策について非常に心配をしていたんだけれど、逆に言えば、湖沼地帯があったからこそ、工業用水として豊富な水が使えると、この場所が狙われたわけなんですね。
「人間がいないところには、公害が起きない」という開発推進派の理屈を聞いてショックを受けたんだけれど、人さえいなければ、その場所をどんどん汚してもかまわない。人間を追い出して汚染地帯を作るのが、「開発」の正体だと。
自然豊かな過疎の田舎で育った身には、とても許せるものじゃありません。それはないだろう? あまりにひどい理屈じゃないか?
昔から、なんで自然の綺麗な田舎に、わざわざゴミ処理場なんか作るんだろう? と思っていたんだけれど、人間がいない、もしくは少ないからなのか・・・。と初めて、その意味に気づきました。地方在住者は、もっと怒っていいんじゃないかと思うよ。都会のゴミだけ田舎に押しつける、その理由に。
六ヶ所村の記録――核燃料サイクル基地の素顔(上) (岩波現代文庫)
- 作者: 鎌田慧
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/11/17
- メディア: 文庫
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