小説・一般22.「六ヶ所村の記録――核燃料サイクル基地の素顔」下巻 鎌田慧 岩波現代文庫
かなり時間がかかったけど、ようやく読み終えました。「六ヶ所村の人々は、再処理工場が造られるのを知って、反対しなかったのだろうか?」とそれが疑問で読み始めたんだけれど、貧しい開拓民から土地を取り上げていく過程、だまし討ちのように議会で採決、開発が来て、工場の立地で暮らしがよくなるという話が、どんどん切り替わっていって、石油のコンビナートになり、核燃料施設になっていったという、その流れが、丁寧に説明されています。
反対運動をしていた人々の個人的な歴史、満州の開拓民だった時代と、日本に引き揚げてから、改めて六ヶ所村を開拓していく、昭和の歴史を丁寧に教えてくれたのも助かりました。こういうのは、学校で教わらない、親の世代、その上の世代の記録だから、貴重だと思います。
正直、私にはちょっと難しかったんだけれど、読んでよかったと思いました。
最後に描かれる将来への課題。危険な核のゴミの処理をどうするのか? 今まで誰もが無関心のままで、どんどん作られてきた放射能のゴミ問題。今度こそ、みんなが真剣に向き合って、考えなければならないと思います。これ以上、下の世代に、上の世代の負担を押しつけてはならない。自分たちの課題を未来に先延ばしにしちゃいけないのだと、そう思います。
六ヶ所村の記録――核燃料サイクル基地の素顔(下) (岩波現代文庫)
- 作者: 鎌田慧
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/11/17
- メディア: 文庫
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