星の原休憩所

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「チェルノブイリの祈り 未来の物語」 スベトラーナ・アレクシエービッチ

小説・一般45.「チェルノブイリの祈り 未来の物語」 スベトラーナ・アレクシエービッチ 岩波現代文庫

チェルノブイリに生きる人々の肉声を集めたドキュメンタリー。いろんな人の話を読むことが出来ます。それぞれ、立場も性別も年齢も違う人々。チェルノブイリ事故を、ただ、「事故があったねえ」程度に捉えるのではなく、そこには、様々な人々が関わっている。いろんな人の生活を変えてしまった。その様子をリアルに追体験できて、貴重な証言集だと思いました。

冒頭に事故処理に当たった消防士の妻の告白があるけれど、もう、それを読むだけで涙ボロボロになってしまった。あと、障害児を持つ母親の悲痛な声。「実験動物にされてもかまわない。この子が死ぬのは嫌。この子に生き延びて欲しい」という言葉と。

娘と孫を疎開させなかった役人の話。自分の家族だけ逃がすわけにはいかないと、妻を叱りつけた。「私が犯罪者だというのなら、私の孫はなぜ・・・。孫は病気なんです」

片っ端から知人に危険を知らせた研究所職員の話。その人々は「ありがとう」と言っただけで、質問もしないし、驚きもしない。

他にもいろんな声がある。今の日本と重なる部分も、多数見受けられるので、興味のある人は、読んでみてください。オススメです。

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)