コミック80.「バルバラ異界」第1巻 萩尾望都 小学館fsコミックス
10年ぶりに再読。いい加減、忘れているから、改めて、通しで読んでみようと思いました。
青葉の見ている夢の世界と、近未来である現実世界が、いろいろ入り交じっている設定部分が、とても魅力的。一方で、久しぶりに読み返して、この作品って、思いの外、えぐくて、グロかったんだなあ。とも思った。心臓を食べるイメージが気味悪い。
登場人物が多いし、関連もややこしいので、追いかけるのに一苦労するが、見ていて一番印象に残るのが、捨てられた子供としてのキリヤの孤独で、悪夢から逃れる場所として、バルバラという島を作り出した。「ああ、よかった・・・。安全な場所へ行けた・・・」この気持ちは、非常に伝わる。
一方で、子供を捨てた父親である渡会さんだけど、自分の年齢を考えれば、今は親の気持ちの方がよくわかるというか、そんなつもりはなかったけど、子育てから逃げてしまった彼の立場。子供を相手にすることの難しさは、ぎくしゃくしている彼らの関係を見ていると、いろいろ伝わるものがある。それでまあ、気持ちとしては、どこか渡会さんを応援したくなるんだよね。息子を愛しているのに、どう接していいのかわからない。
あと、伊勢の明美さんを見ていて、ああ、こういう人って、本当にいるよね。とちょっとげんなりしながら思ったことは、ちょっとだけ書いておこう。
「ああ・・たぶん、明美さんは正しくて美しい。そしてぼくは、正しくて美しい明美さんが苦手だ」この一言に、共感しました。
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/06/26
- メディア: コミック
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