3巻目収録。「苦手な人種」「謝肉祭」「シュールな愛のリアルな死」。
もともと、「メッシュ」シリーズを読み返そうと思ったのは、姉妹の話である「苦手な人種」をもういちど読みたいな。と何となくと思ったからで、たまたまブックオフで100円で売っていたものだから、買い直してきたんだ。「メッシュ」シリーズはダメだと思っていたから、持っていたコミックスをとっくの昔に処分しちゃって、長いこと、読み返しもしなかったんだけど・・・。
なんだか初めて読むような気分で読んでみたけど、これが思いの外、名作で、こんな内容だったのか! とびっくりしました。
「苦手な人種」の内容は、大体、覚えていたんだけれど、それと対になる形で「謝肉祭」が描かれていたとは、今回、読み直して、初めて気づいた。
「ぼくは彼の何を知っていたんだろう?」「勝手に彼を理想化して、彼の見せる完璧な面だけを喜んで・・・」というオズの気持ちは、姉を理想化していたルーの気持ちとも合致するんだな。
自分で自分の理想を他人に当てはめて、勝手に劣等感を持っていじけていた自分の気持ちとも、ようやくつながったんだ。昔は、それがわからなかったということなのか。
完璧な人間なんて、この世にいるわけないんだから。
あと、3巻目の解説に書かれていた「子どもは親の期待にこたえようとする」「親の理想に自分をあわせようとする」という部分が、なんだか辛かった。
それがメッシュのセリフ「あなたがそうと望むのなら、花にも鳥にも魚にも、娘にも、この姿を変えたのに」につながっていくんだと、今更ながら、ようやく気づいた。この作品を読んだのは、プチフラワーで、連載していた時だって言うのに、その時には、その意味がわからなかったんだね。
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1994/12
- メディア: 文庫
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