星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「コロボックル物語⑤ 小さな国のつづきの話」 佐藤さとる

読書25.「コロボックル物語⑤ 小さな国のつづきの話」 佐藤さとる 講談社文庫

自分が手にとって読んだ物語が、自分が読んでいる本の中に登場するという、二重構成が面白かった。物語の登場人物たちが、いかにも現実に存在するような・・・。作品中からファンタジーのキャラクターが飛び出してくるような・・・。

作品の発表年は、1983年だそうだけれど、同時期に出ているミヒャエル・エンデの「はてしない物語」の影響とかあるのだろうかと、ちょっと勘ぐってしまった。物語と現実が二重写しになる感じが、どこか近いものがあるので。

主人公の女性は、いかにも読者の代表という感じのキャラだし、その彼女が図書館で「コロボックル」の本を読む。そこに書かれていることが、現実に起きたことではないかと作者に手紙を出す。

この物語では、コロボックルの本を読んだ人たちの中から、コロボックルと友達になる権利が与えられる。ああ、なるほど。今まで彼らが、私の前に姿を見せなかったのは、この本を読んでいなかったからなのか〜と思わせられるから。

どうやら物語のモデルになった町も実在するみたいだし、終盤でコロボックルの少女が辿り着く場所は、スイッチバック方式の登山鉄道とケーブルカーとロープウエイを乗り継いで、湖の遊覧船に乗るんじゃ、どう見ても箱根だとわかるし、作者が神奈川県在住と言うからには、この物語の舞台は、相模湾周辺の港町なんだろうなあ? という予測だけはついた。

本当は、コロボックルのいる町は、出来るだけ限定せずに、日本のどこか・・・にして欲しかったので、そんな細かく書かないで欲しかったというのもちょっとあるんですが。

でもまあ、これでシリーズ完結編まで辿り着いた。長い間の宿題を片付けた気分だし、どんな話かわかってすっきりした。面白かったです。

コロボックル物語5 小さな国のつづきの話 (講談社文庫)

コロボックル物語5 小さな国のつづきの話 (講談社文庫)