星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

クリストファー・ノーラン監督 「ダークナイト」

映画11.クリストファー・ノーラン監督 「ダークナイト」 (アメリカ・2008)

とにかく、ジョーカーがすごかった。ピエロの扮装で神出鬼没に現れる狂気のキャラ。メイクの凄さと役者さんの演技も相まって、ものすごい存在感を出している。

ゴッサム・シティは、もともと犯罪者が巣食っているような街だけれど、その中でも、人間の悪意を象徴する引っ掻き回すキャラとして、よくできてました。カネなんか目じゃない。どうでもいい。人間が壊れていくのを見ているのが楽しいんだ、という。そんなの相手に戦わなきゃいけないあたりに、この作品の業の深さを感じます。

もともと、両親を目の前で殺された少年の復讐心から物語が始まっているのに、復讐は、決して正義ではないと、前作からして語っていたけど、これはそれを更に深くしてある感じ。

そいつを殺せ、そうしないと、病院を破壊する・・・と脅されれば、自分の大切な人を守るために、人間の秩序は簡単に壊れる。それを見るのが楽しいんだという。

この街から犯罪をなくしたい。悪を一掃したいという思いが、かえって混乱を招いていく。

正義の味方の露悪的な行動と、発生する矛盾。誰かが闇を引き受けなきゃいけないという主人公の苦しみがなかなかドラマでした。

顔が半分焼けただれた役者さんの演技も見事なものでした。この人も顔面のビジュアルメイクがすごかった。半分だけきれいな顔が残っているのに、残り半分が醜く壊れて、このキャラがこの作品を象徴しているんだな、と思います。