星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ロボット・イン・ザ・ガーデン」 デボラ・インストール

読書7.「ロボット・イン・ザ・ガーデン」 デボラ・インストール 小学館文庫

カスバート兄妹のもとに女の子が来たように、アルムおんじのもとに孫娘が来たように、パズーのもとにシータが空から降ってきたように、タングもまたベンのもとにやってきたんだと思う。問題を抱えている人のもとにやってくる神様からの贈り物みたいに。タングの存在によって、自分の問題に気づき、変わっていく主人公の物語。ロボットとして描かれてはいるけど、この場合、タングは子供の比喩だろうと思う。自分は父親にはなれないと思いこんでいた主人公が、旅をしながら、子育て、タング育てに奮闘していく。そうやって、初めて、父親らしさを身に着けていく。

しかし、この場合、問題があるのは、主人公よりも奥さんのほうじゃないかという気もちょっとする。完璧主義の奥さんは、そうなるようにしつけられた育った家庭に問題があるのはわかったけど、ダンナさえ成長すれば、それでいいのか? ずいぶん、都合よく豹変したけど、代わりの男じゃ駄目だったから、戻ってきたようにしか見えないし、妊娠すれば、それだけで変わるのかな? そのへんは、よくわからないけど。