星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「planetarian ちいさなほしのゆめ」 涼元悠一

読書8.「planetarian ちいさなほしのゆめ」 涼元悠一 VA文庫

原作ゲームはプレイ済み。アニメ版もOVA版と劇場版、両方見てます。

原作ゲームのおまけとして書かれたという短編集だけれど、非常に良くできてました。「エルサレム」を読んで、「星の人」に描かれた居住区の意味もやっと分かったし、4つの物語がきれいに本編につながっていく流れがわかって、嬉しかったです。

もったいないと思うのは、せっかくここまで書いたのなら、本編の屑屋とゆめみちゃんの物語もちゃんと小説で出すべきでしょう。ということで、ゲームのおまけとして扱うには、この短編集の出来が良すぎます。ゲームをやるか、アニメを見ないとこの短編の意味がわからないとは一般に敷居が高すぎるんじゃないかと思う。

あるいは、誰かに通しで漫画化してもらうとか? 無理かな? いや、これだけ文章力のある人なら、やっぱ、ちゃんと小説で読みたいけどね。

与えられた命令に忠実に従うロボットの宿命と、命令を与えた人間でさえわからなくなるその頑迷さという、そのテーマがよく出ていて良かったです。

個人的には「チルシスとアマント」が好きだな。「言葉は伝えるためにあるんだ。神様はきっと、遠くに行きたかった。だから、世界ができたんだよ」このセリフが、ちょっとお気に入りになりました。