第3部、第4部を収録。次郎も中学生になって、だんだん、深く物事を考えるようになってきた。いろんな出来事から、人間を学ぶ機会が増えて、読んでいるこちらも一緒に勉強させられている気分になる。
この作品って、思いのほか、教育的要素が強く、いろいろ考える次郎を通して、こちらにも学ばせようという作者の意図が見える。一歩間違うと、ちょっと堅物で説教的になりそうだけど、そこは登場人物の魅力で緩和されるというか、次郎に感化を与える兄にせよ父にせよ、先生たちにせよ、友達にせよ、みんな個性的だし、発言がいちいち素晴らしい。
世の中が、だんだん不穏になってきて、発言の自由がはばかられるようになったころ、次郎は思った通りのことを堂々と言ってのけて、見ているこちらが、大丈夫なのかと心配させられるし、しかし、彼なりにきちんと考えて発言しているのは見て取れるので、よほど応援したくなる。学校を退学させられた彼が、今後、どう生きるのか、続く第5部も楽しみにしてます。むしろ、第5部(下巻)で終わってしまうのが残念。物語の構想は第7部まであったらしいので。