星の原休憩所

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「西の善き魔女」第6巻 荻原規子

読書16.「西の善き魔女」第6巻 荻原規子 角川文庫

外伝その1。フィリエルとルーンのはじめての出会い。虐待された子供としてのルーンの姿が生々しく、かつ、痛々しい。どんな目にあわされてきたのかと思うと、つらい。一方で、何も知らないフィリエルの無邪気さと無邪気故に残酷な少女の姿もなかなかリアルに描写されていると思う。その辺、作者の筆致の巧みさに感心する。

まあ、フィリエルがルーンに殺意を抱く下りに関しては、多少やりすぎじゃないか? という気もしたけど。フィリエルにとって、本当に大事だったのは、本当に大好きだったのは、博士なんだと、その思いも伝わるので、これもまた切ない。

博士が自分にそっけないから、愛されてないんじゃないかと不安だったんだね。博士に自慢される娘になりたい。その思いが、冒頭のグリム童話とつながるところが見事だと思いました。

ラストの短編は、本編のその後の話。フィリエルとルーンは、ちゃんとエディリーンのお墓にたどり着けたのか。良かった。