星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ムーミンパパ海へいく」 トーベ・ヤンソン

読書18.「ムーミンパパ海へいく」 トーベ・ヤンソン 講談社文庫

「うみうまと友だちになるなんて、できない相談だと思うわ。だけど、だからといって失望することはないのよ。きれいな島とか美しいけしきを見るのとおなじに、うみうまを見ることができたらそれで幸福だと思えばいいんじゃない」

これは、片思いの物語なんだなあ。と、気づいた。ムーミントロールがどんなにうみうまを好きでも、彼らは振り向かない。ただ、気まぐれに笑って、去っていくだけ。

同じく、パパがどんなに海を好きでも、海はその思いに応えない。あざ笑うように意地悪で、容赦なく、試練ばかり与えてくる。

モランが灯りを求めて、ムーミンたちを追いかけてくるのもそれに似ている。

近寄ろうとしても、遠ざかり、それで想いが凍りつく。結構、残酷な物語だったので、読むのがきつかった。

ただ、救いがあるとしたら、ほんの少しの優しさを与えたことで、モランは喜び、温かさが蘇る。灯台守は灯台に帰ってきて、灯台に火が灯る。そのラストがきれいだった。