星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「だいこん」 山本一力

小説・一般23.「だいこん」 山本一力 光文社文庫

お義父さんが、「面白かったから、あんたも読んでみなさい」と言って、私にくれた本。少し前に司馬遼太郎を読んだ話をしたら気に入られちゃったみたいで・・・。

正直、山本一力なんて、私の守備範囲じゃないし、どちらかと言えば未知の分野だから、どうしようかと思ったけれど、せっかくくれたのに読まないのも悪いから、とりあえず、読んでみました。

薦めてくれただけのことはあって、結構、面白かったです。江戸時代、若い女の子が料理の腕一つで、店を起こして、それを広げていく物語ですね。商売を始めるに至った経緯とか、仕事にあたっての心構えとか、丁寧に描いてあって、好感を持てました。なんにせよ、金勘定のことにはこだわるお義父さんが気に入りそうな話だなあ、と思いました。

ある種、お父さんたちの夢の世界だなあ・・・と言う気もしたんだけれどね。だって、彼女、しっかりとファザコンで、お父さん大好き〜という描写があちこちに見られる。そんな父親を尊敬していた・・・という描写があるのは、父親世代に受けそうだなあ、と思いました。

主人公のつばきちゃんが健気でいい子で、長女らしい気配りを持っていて、いつも妹たちのことを気遣って、母親の代わりに頑張っている姿を見せる。そんな彼女の周りには、応援してくれる人が次第に集まってくる。そういう商売奮闘記でした。

江戸時代の描写が丁寧だったので、そういう部分が興味深かったです。なるほど、仕事に頑張っているキャリアウーマンの話も江戸時代をモチーフにするとこうなるのか〜と言う部分が面白かったと思いました。