星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ASTRO BOY 鉄腕アトム」第9話

第9話「フランケン」

「電光」で感じた欺瞞が再び・・ですね。うーん。こういう展開だけはやっちゃいけない典型だと思う。

つまり、フランケンは助かっちゃいけないんですよ。「フランケンも犠牲者なんじゃ」というお茶の水博士の言葉は、心情的には理解できるけど、「あいつはもう人間の建物を破壊している。危険な存在になっている。これを見過ごすわけにはいかない」というタワシ長官の意見だって、その方がよっぽど正論だと思う。

「電光」の時も感じたけど、「いくらロボットがかわいそうだからと言って、罪を犯したロボットが簡単に許されていいのか?」という問題が出てきちゃっているんですね。だから、かわいそうだけど、電光もフランケンも破壊されなきゃいけないんですよ。

特に、今回はラストシーンが「電光」の時以上にうさんくさかった。フランケンの身体から、元のロボットであるアルの原型がそのまま形を残して出てきた上、「元通りに直してやろう」とめでたく終わったら、ただの子供だましですよ。いくらなんでもあんまりでしょう。

しかし、これはシナリオ会議の末に脚本が改悪された実例かもしれないなあ・・とも思うので、脚本家を責める気にはならない。「電光」の時も、ちらっと思ったんだけど。もしかして、予定された脚本が、ハッピーエンドになるように無理矢理書き直されているんだろうか? という気がするので・・。

と言うか・・子どもとフランケンの気持ちが通じたのもつかの間、子どもが「殺さないで!」と叫ぶのを振り切って、攻撃がなされて、目の前でフランケンは破壊されてしまう・・。そういう展開にしてこそ、一体、本当に悪いのは、ロボットだろうか? それとも人間だろうか? という問題が浮上するはずなんですよ。

あとで残ったフランケンの部品からロボットを作って少年にプレゼント、という展開があれば救いになるし、「今度こそ、盗まれないように大切にするんだよ」というオチでよかったと思うんだけどなあ。
しかし、私が思いつくようなネタなら、当然、スタッフだって考えていると思うんだけど、そういう展開にできない今のTVアニメの規制が非常に残念です。