星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「AIR」第11話

第11話「うみ〜sea〜」

情が移ると別れるときに辛くなるからとあえて幼い女の子に近づかないようにしていた晴子さんと、迷惑をかけちゃいけないからと甘えないようしていた観鈴。互いに距離を置いて暮らしていた二人の関係。

「家族とは身を寄せ合って暮らすもの」とSUMMER編では言わせておいて、そんな「家族」にはなりきれずにいた観鈴と晴子の関係を改めてクローズアップしてくる。

互いに距離を置いて、相手に近づかないようにすれば、傷つかずにすむから・・・。だけど、そうやって暮らしていると、いつまでたってもお互いに孤独のままだ。

この物語は「逃避」を嫌う。「美凪」の物語が一番顕著だったのだけど、少しでも「逃避」の入った選択肢を選ぶと、登場人物に「甘えるな!」と叱られたあげく、物語がバッドエンドへと向かってしまう。

「そんな暮らしとはもうおさらばや」と晴子さんに観鈴とぶつかることを決意させたのは、往人の一言だった。「あんたがそんな態度でいるから、あいつはあんたに甘えられないんだよ」

嫌われてもかまわないから、自分の想いを伝えて、ぶつかって行けと物語は主張する。「お母さん」と呼んでもらえなくてもいい。「セミ取りおばさん」でいいじゃないか。相手のために道化になってそこまでやって見せたとき、初めて奇跡は起こるよ・・・。と、これはそういう話だ。

だから、晴子さんの姿に涙が止まらなくなる。一方で、希薄な人間関係に甘んじているものには、ものすごく痛い物語でもある。自分はそこまでやっているだろうか? また、できるだろうか? という問いかけだから。

正直、改めてアニメで見るまでは、このシーンにそれだけの意味が隠されていたとは気づいていなかった。ゲームだと長すぎるシナリオを追いかけるのに手一杯になってしまうので、動きのあるアニメで見るのとでは同じ物語でも印象が違ったような気がした。そういう意味では、見事なまでに感動的なアニメに仕上げたスタッフの力量に感謝。いい作品です。

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