小説・一般27.「しゃべれどもしゃべれども」 佐藤多佳子 新潮文庫
これは面白かった。今年のベスト1に押してもいいかも?
コミュニケーション能力に問題のある人間が集まって、そろって「落語を勉強したい」と言いだして、主人公の若手の噺家が右往左往する話だけれど、なんせ、リズム感のある文章が気持ちよくて、すらすらと苦笑しながら読めるのがいい。
キャラクターも個性的で面白いし、特に関西弁を喋って、東京の学校でクラスのみんなとけんか腰になっているという小学生の男の子がかわいかった。どこまでも意地っ張りで、「いじめやあらへん。けんかしとるだけや」と言い張っているのが、すごくいいよ。
短気ですぐに怒鳴っちゃう主人公もすてき。気持ちよく読めました。最後まで一気に読めちゃうところはさすがです。