小説・一般34.「ゴールド・フィッシュ」 森絵都 角川文庫
「リズム」続編。見事なまでに「リズム」で描いていたことをひっくり返したなあ、と思った。「世の中、そんなに甘くない」とばかりに、主人公のあこがれも、あこがれだった男の子の夢も壊してしまった。かっこよかったはずの男の子も、夢を失って逃げまどうような情けない男の子に変化。
でも、その方がいいな、と思った。私たちは、アマゾン川を生きる金魚に過ぎず、いつピラニアに襲われるかわからない世の中を生きているんだって。それでも、前向きに夢を見ながら進んでいこうとするメッセージがなかなか感動的でした。物語に厳しさは増えたけど、テーマは変わらず、自分だけのリズムを大切に。いい話でした。