映画13.神山健治監督 「ひるね姫~知らないワタシの物語~」 (日本・2017)
事前に悪い評判ばかり入ってくるし、「神山健治版の「星を追う子ども」だ」という評価も聞いていたので、そんなにひどいのかと思って、覚悟を決めて見に行ったんだけれど、実際に見てみたら、心配していたほど、ひどくなかったというか、むしろ、面白かった。
「星を追う子ども」だと言われる理由もなんとなくわかったけど、「星を追う子ども」ほど、物語が破綻しているわけじゃない。単に、「未来少年コナン」や「天空の城ラピュタ」などの宮崎作品や「新世紀エヴァンゲリオン」を連想させるシーンが幾つか見受けられるだけで。
神山健治のファンは、神山健治に大人向けの硬派な社会派ドラマを期待しすぎているんだと思うな。そうじゃなくて、これはもともと、お父さんが娘のために作った子供向けのファンタジーアニメなんだと思えば、これで十分だと思うんだけど。
夢と現実が交錯し、夢に見えたシーンが、急に現実に戻ってきても、それはそれで意味が通るようになっている。自動運転車というのが、どのぐらい実用化に向けて進んだのかはわからないけど、岡山にいた主人公たちをいつの間にか大阪に運んだのは、自動運転システムだという種明かしに感心させられた。ソフト開発の力は、もはや魔法の力と同じものなんだという。
個人的には、コンピューターは、人間の補佐はできても、人間のかわりにはなれないと思っているので、車の運転を全部自動にしちゃうのは、さすがに怖くて嫌なんだけど、そうなったらいいなあ。という夢の物語としては、納得できる。
さすがに東京オリンピックに間に合わせるのは無理としても、いつか、そんな時代も来るかもしれないし、子どもたちに夢を語った物語として、きれいなお話でした。
瀬戸大橋の上を飛ぶシーンがきれいで、作画がすごいなあ。と、感心したことはちょっとメモしておこう。