星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「Kanon」栞シナリオ バッドED

うちのダンナが「栞のバッドEDって、どうなるんだ? やっぱり死ぬのか?」などと言い出したので、そういえばどうなるんだろう? と思ってやってみた。

個人的には、このシナリオの方がトゥルーEDなんじゃないかと思いましたね。奇跡こそ起こらないけど、少なくともお話が破綻していない。姉妹がたまたま喫茶店で同席しただけで関係を取り戻す無理なハッピー展開もないし、ストーリーの流れに不自然さが見えない。

主人公は、春になっても、いなくなってしまった少女をずっと捜し続けている。席替えの文字の中に彼女の名前がないか・・・探すけれども見つからない。

その状況にあの言葉が被さる。
「起きないから、奇蹟って言うんですよ・・・」

むしろ、この状況の方が泣けます。失われた時は取り戻せないんだという事実がひしひしと伝わるので・・。それこそが当たり前の現実でしょう。だからこそ、彼女と過ごした日々は尊いんだと言うこと。

物語上で起こるご都合主義の「奇蹟」を私が嫌悪するのは、たとえばいじめられっ子をやった人なら誰でもわかるはずだと思うんだけど、「神様、助けてください」といくら一生懸命お願いしたところで、神様は絶対に助けてなどくれない。そういう風には奇蹟は働かない・・・という事実を子供でもちゃんと知っているからなんだ。

一時的な現実逃避のために物語を読んだって、本を読み終え、あるいは映画館を出て、現実に立ち返った時にむなしくなるだけだ。夢のような物語はいつか終わってしまうんだから・・・。

物語が現実の人間を救えるわけなどない。現実の人間を救えるのは、現実に隣にいる人だけだ。物語に出来る役割と言えば、読者にそれを教えることぐらいだろう。