星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

めも。

議「彼らがいつどこで、なぜ出会ってしまったのか私は知らない。ラクス・クラインは、当時の最高評議会議長シーゲル・クラインの娘にして、パトリック・ザラの息子アスラン・ザラのさだめられた相手だった。それがなぜ、彼と出会ってしまったのか? それでも魂が引き合うさだめられた者たち。さだめられた物事。すべてをそう言ってしまうなら、では我らがもがきながらも生きるその理由は?」

ク「すべてのものは生まれ、やがて死んでいく。ただそれだけの事だ」

議「だから何を望もうが、願おうが無意味だと?」

ク「いーやいや、そうではない。ただそれが我らの愛しきこの世界。そして人という生き物だという事さ。どれだけ、どう生きようと。誰もが知っている事だが忘れている事だ。だが、私だけは忘れない。決してそれを忘れない。こんな私の生に価値があるとしたら、知った時から片時もそれを忘れた事がないという事だけだろうな」

議「だが、君とて望んで生きたのだ。まるで何かに抗うかのように、求めるかのように。願いは叶わぬと知った時、我等はどうすればいい? それがさだめと知った時」

ク「そんな事は私は知らない。私は私のことしか知りはしない。迷路の中を行く様なものさ。道は常にいくつも前にあり、我等は選び、ただ辿る。君たちはその先に願ったものがあると信じて。そして、私はやはりないのだとまた知る為に」

議「誰が決めたというのだろう、何を? 仕方がなかった。では、それは本当に選んだことか? 選んだのは本当に自分か? 選び得なかった道の先にこそ本当に望んだものがあったのではないか?」

ク「そうして考えている間に時はなくなるぞ。選ばなかった道など無かったと同じ。もしもあの時、もしもあの時。いくら振り返ってみても、もう戻れはしない。何も変えることなど出来ない。我等は常に見えぬ未来へと進むしかないのだ。今ではないいつか、ここではないどこか。きっとそこにはある素晴らしいもの。それを求めて永遠を忌み、血の道を彷徨うのだろう? 君たちは。不幸なことだな」

議「救いはないと?」

ク「救いとはなんだ? 望むものが全て、願ったものが全て叶うことか? こんなはずでは無かったと、だから時よ戻れと祈りが届くことか? ならば次は間違えぬと確かに言えるのか? 君は。誰が決めたと言うのだ、何を?」

議「ならば私が変える。全てを。戻れぬというのなら、初めから正しい道を。己の出来ること、己のすべき事。それは自身が一番良く知っているのだから」