小説・一般36.「鹿と少年」下巻 ローリングズ 光文社古典新訳文庫
水車を回して楽しんでいられた少年時代は、いつか遠く過ぎ去った。と言う話で、少年が厳しい現実の前に打ちのめされていく過程が、胸を打ちました。子供の頃に読んだときには、主人公が鹿を撃ち殺すシーンばかりが印象に残っていたんだけれど、今の視点で読み直すと、その後のジョディが何も食べずに放浪し、初めて「飢え」とは、どういうものかを知る部分の方が辛かったですね。「このままだと飢えてしまうよ」という母親の言葉を、自分がいかに甘く見ていたか、身をもって体験する。それを知ったときに初めて、少年は大人になったのかも知れない。
いい作品でした。オススメの1冊です。