星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「もつれた蜘蛛の巣」ルーシー・M・モンゴメリ

小説・一般22.「もつれた蜘蛛の巣」ルーシー・M・モンゴメリ 角川文庫

ダークとペンハロウ一族の、家宝である水差しをめぐる悲喜こもごも。と言うわけで、一族だけで大量の登場人物が出てくるし、最初のうちは誰が誰やらでだいぶ混乱しましたが、基本的には、ゲイとロジャー、ノエルをめぐる三角関係と、結婚式当日に別れてしまったカップル、ヒューとジョスリン、あと、いきなりお互いに一目惚れしたカップル、ピーターとドナ、家と赤ん坊が欲しいというマーガレットの夢と気の毒な境遇にある少年ブライアンがどうなるのか、そして、ビッグサムとリトルサムのケンカの行く末は? という6点を中心にドラマを楽しませてもらいました。

これだけの複雑な関係を同時進行で語られる物語の中に凝縮させている力量はさすがだと思いました。どうせ上手く落ち着くところに落ち着くんだろうなあ、というのは、最初から見えていたものの、なかなかうまくいかないスリルは、十分に楽しませてもらったような気がします。ピーターとロジャーはいいダンナになりそうな気がして、これから結婚するゲイとドナがうらやましいな、と思いました。一方で、マーガレットの結婚願望の行き着く先が、家と子供だけ手に入れたら、それで満足したというあたり、潔くて感心しましたよ。ダンナはいらないのね。(苦笑)

読むのは大変だったけれど、読み応えがあって、面白かったです。