星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ルルとミミ」 萩尾望都

コミック65.「ルルとミミ」 萩尾望都 小学館文庫

萩尾望都の初期短編集。「かたっぽのふるぐつ」を読みたくなったので、買ってきたものの、見事に全部、知っている話だった。萩尾先生のマンガは、ほとんど全部、読み尽くしてしまったよねえ。

しかし、70年代初期(一部60年代)の作品を読み返して、いくらなんでもこのネタは古すぎるだろう? と感じる作品と、これなら現代でも通用するよね。 と感じる作品が、いろいろ混ざっているのが面白かった。

デビュー作の「ルルとミミ」はもとより「すてきな魔法」「爆発会社」などは、絵も話もさすがに古すぎる感じがしてきついんだけど、「ポーチで少女が子犬と」「モードリン」「小夜の縫うゆかた」「毛糸玉にじゃれないで」なんかは、もう、古典文学の匂いがして、永遠の名作になりうるなあ。と思う。

「爆発会社」のSF感については、ちょっと書きたくなったけど、70年代SFコメディのノリが、今、見ると、すごいものがあるなあ。と思う。

「かたっぽのふるぐつ」は、70年代の公害問題をテーマにした作品だけど、放射能汚染された今の時代に、まっすぐに通じる名作だと思う。放射能汚染は、人類史上最大級の公害でしょう。石油コンビナートを原発に置き換えればいい。友達を失った子供の叫びが胸に響くよ。

ルルとミミ (小学館文庫 はA 44)

ルルとミミ (小学館文庫 はA 44)