萩尾望都の初期短編集。「かたっぽのふるぐつ」を読みたくなったので、買ってきたものの、見事に全部、知っている話だった。萩尾先生のマンガは、ほとんど全部、読み尽くしてしまったよねえ。
しかし、70年代初期(一部60年代)の作品を読み返して、いくらなんでもこのネタは古すぎるだろう? と感じる作品と、これなら現代でも通用するよね。 と感じる作品が、いろいろ混ざっているのが面白かった。
デビュー作の「ルルとミミ」はもとより「すてきな魔法」「爆発会社」などは、絵も話もさすがに古すぎる感じがしてきついんだけど、「ポーチで少女が子犬と」「モードリン」「小夜の縫うゆかた」「毛糸玉にじゃれないで」なんかは、もう、古典文学の匂いがして、永遠の名作になりうるなあ。と思う。
「爆発会社」のSF感については、ちょっと書きたくなったけど、70年代SFコメディのノリが、今、見ると、すごいものがあるなあ。と思う。
「かたっぽのふるぐつ」は、70年代の公害問題をテーマにした作品だけど、放射能汚染された今の時代に、まっすぐに通じる名作だと思う。放射能汚染は、人類史上最大級の公害でしょう。石油コンビナートを原発に置き換えればいい。友達を失った子供の叫びが胸に響くよ。

- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/09/15
- メディア: 文庫
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