読んでいて、なんだか空恐ろしくなった。こんなことが、本当に現実に起こっているのかと・・・。
アメリカは、世界一の大国で豊かな国だと思っていたんだけれど、そうでもなく、最下層で貧困に喘いでいる人たちが大勢いる。もともと、医療保険のない国なんだと言うことは、何となく知識があったものの、具体的に医療現場の現実を示されると、日本の健康保険制度のありがたみをひしひしと感じる。
災害対策や医療など、最低限の社会保障は、国が責任を持って国民を守るべきだ。民営化の名の下に、企業に任せたとたんに、人間は商品となってしまう。
たった一度の病気で医療費が払えず、最下層に落ちた人間の元には、リクルーターが現れ、「いい仕事があるよ」とばかりにイラク行きを勧められる。
家が貧しくて、学費が払えない。仕事がなくて、借金まみれになった人にも同様。最終的な行き場は、米軍しかないという。そんな人たちが、イラクで兵士として働いているのかと思ったら、なんだかあまりの理不尽さに、泣きそうな気分だ。
「カイジ」で描かれた世界がシャレにならない現実を、突きつけられたようで怖かった。今のまま進むと、これが日本の未来ではないかと。
これはみんなが読むべき本だと思う。この人の本は、また読んでいきたいな。と思いました。

- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
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