星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

米林宏昌監督 「思い出のマーニー」

映画24.米林宏昌監督 「思い出のマーニー」(日本・2014)

原作は未読。予備知識ゼロで見てきました。で、困っているのは、感動しようにもしきれない微妙さ加減・・・。

もう公開からだいぶ経っているので、興味のある人はとっくに見ただろうし、ネタバレ全開で行きます。

全然感情移入できない主人公の言動に、まず、あっけにとられるというか。言動から心理状態が読み取れない。何を考えて、こんな発言になっているのか、理解できないというか。この脚本を書いた人は、まず、女心のわからない人なんだろうなあ。と思った。人間が発言するからには、その発言の後側にそれぞれの心情があるはずなんだけれど、まるっきり読み取れない。は?? なんだそりゃ? と思った。

この主人公、なんでノブコちゃんに対しては、こんなに必要以上に冷たいの?? ってのが、まずわからん。親切にしてもらっておきながら、相手を「デブ」呼ばわりするのは論外だろう。そこまで相手をののしるからには、よほど言われたくないトラウマに触れたとか、それなりに怒る理由があるはずなんだけど、全然見えないよ? 女性に対して、言っちゃいけないようなことを平然と言う。こんなセリフを平然と使うあたりで、作り手側の無神経さが見えて、まず、不愉快。

まわりと上手くやっていけない孤独な少女・・・を演出したかったという意図は見えるけど、全然、上手く描けてないよね。

発言が無神経な人間は、世の中にいくらでもいるとして、それでも、この主人公の無神経さは、人間を描けていない領域にはいると思う。だから、見ていても、「ああ、その気持ちならよくわかるわ〜」という共感を得られない。

ノブコちゃんに冷たい割りに、わけのわからん少女マーニーには平然と懐くし、後半に出てきたサヤカちゃんとは友達になったという。

マーニーのことを知って、キャラが成長し、ノブコちゃんと仲直りしたというのならまだ物語的に理解できるものの、そうでもないって言うんでしょ?

ボートで助けてくれた無口なおじさんは登場こそ意味深だったのに、全然活躍してないし、絵描きのおばさんも状況の説明に終始している。

なんだか、せっかく、いろいろと使えるであろう要素を持っていながら、全部、台無しにしているという感じ。

なまじっか、キャラや設定、美術なんかは、いかにもジブリっぽい雰囲気を出しているだけに、そのブランド名を傷つけているだけという感じだよね。

あと、よくわからんのは、マーニーの正体。この展開なら、普通、亡くなった母親だったというのが王道だろう? と思うんだが、なんでお祖母ちゃんなの?? 物語的には、母親の方がしっくり来るんじゃないの? 映画を観ながら、母親だろうなあ。と思って、感動させてくれるのを待っていたんだが、そう言う風にならずに、妙な方向に話がそれていくので、どこで感動していいのかわからないまま終わってしまった。原作はどうなっているのかねえ?

これも、題材はいいのに、監督のだめさが出ちゃって、たぶん、パヤオならもっと上手く演出できるだろうと、もっと名作にできるんじゃないかと思えるからこそ、もったいないなあ。と、溜息が出ますよ。期待はずれの作品でした。