星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「風の海迷宮の岸」 小野不由美

読書15.「風の海迷宮の岸」 小野不由美 新潮文庫

泰麒、かわいいよ、泰麒。もう、それがすべてで表せられるというか、泰麒のかわいさにひかれて、気分は女仙。かわいい泰麒を見守りつつ、彼がお嫁に行くまで育て上げた気分。幸せになってね。という想いでいっぱいなんだけど、「魔性の子」「月の影影の海」と読んできただけで、彼がこの先、苦難に突き当たるのが見えているわけで、そこが辛いところ。

蓬莱生まれで、何も知らないという泰麒に合わせて、こちらも一緒に、十二国の世界を満喫しました。再読なので、物語の展開は覚えていたものの、細かいところは忘れていたのでちょうどよかった。

「月の影影の海」下巻 小野不由美

読書14.「月の影影の海」下巻 小野不由美 新潮文庫

陽子の長い旅も、ここでとりあえずは終了。読んでいるこちらも一緒に長い旅をした気分。再読なので、もろもろの種明かしにびっくりすることはないけど、なにしろ、すごく丁寧に異世界の設定を作ってあるので、こんなに細かかったんだ。と、改めて感心する。あと、楽俊、尚隆、六太などの懐かしい登場人物との再会が嬉しかった。特に、尚隆、初登場がこんなにかっこよかったとは~。と思って、にやにやしちゃいましたよ。

「月の影影の海」上巻 小野不由美

読書13.「月の影影の海」上巻 小野不由美 新潮文庫

初版の時、読んで以来だから、28年ぶりに再読。昔、読んだ時も、ひどい話だなあ。と思ったけど、今、読んでも、やっぱりひどいと思う。とはいえ、この容赦なさが、この作品の魅力のような気もする。人間の残酷さについて。あるいは、みんなに対していい子でいようとした陽子の甘さについて。そのどちらも、自分の中にもあるのかもしれないと、今は思っているので。

「魔性の子」 小野不由美

読書12.「魔性の子」 小野不由美 新潮文庫

いい加減、「十二国記」の続きを読もうと思って、この際、最初から読み直すことにしました。で、30年ぶりに「魔性の子」を再読。前に持っていた本は処分してしまったので、新装版を買いなおして、読んだけど、特に違和感はなかったかな? 私が記憶していたシーンは、大体、そのままだったし。やっぱり、海辺でのラストは秀逸。感動します。

昔よりも、今の方が、人間の醜さが見えて、この作品が持っている切なさが伝わったような気がする。私も人間なので、向こう側には行けないと、なんとなくわかってしまったので。

「カモメに飛ぶことを教えた猫」 ルイス・セプルベダ

読書10.「カモメに飛ぶことを教えた猫」 ルイス・セプルベダ 白水社白水Uブックス

「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願ったものが、全力で挑戦した時だけだ。ということ」

それが一番大切なことだと、物語はしめくくり、その言葉が一番自分的にも刺さったし、たぶん、そうなんだろうなあ。と思う。何事においても、成し遂げる人ってのは、そういうものかもしれない。

ただし、この物語においては、あんまりこのカモメが頑張ったという感じには見えなくて、結局のところ、カモメだから飛べたんじゃないの? って気が、ちょっとするのは否めないんだけどね。

「人間の土地」 サン・テグジュペリ

読書9.「人間の土地」 サン・テグジュペリ 新潮文庫

郵便飛行の歴史には詳しくないので、主人公たちが、どこからどこへ向かって飛んでいるのかが、よくわからなかった。サハラ砂漠を超えるからには、ヨーロッパからアフリカ方面に向かっているのだろうか? とも思ったんだけど、南米の地名も出てくるし、大西洋も超えていっているのだろうか? そこに戦争がどう絡むのかも、歴史認識が足りなくて、自分の知識のなさにがっくり来ている。

有名な「愛するということはお互いに顔を見あうことではなく、一緒に同じ方向を見ることだ」というセリフが、この作品に出てくることに感動した。

あと、宮崎駿の解説が、この本の中で、一番わかりやすかったかな~という気がした。人間のやることは狂暴だという。