星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「かもめのジョナサン」 リチャード・バック

読書8.「かもめのジョナサン」 リチャード・バック 新潮文庫

有名タイトルだけど、内容は知らなかったので、初めて読んで、こんな変な話だったとは! と思って、困惑している。(PART4を含む完成版を読みました。)

ネタバレ有りで書くけど、ジョナサンが変わり者でほかのかもめが一生懸命、餌をあさっているに、自分だけは、飛行の訓練をしていた。スピードをいかにして上げるかに一生懸命だった。という話なのは、まだいいとして。

スピードの訓練も何も、スピードを驚異的に上げていくと、最終的に瞬間移動まで始めて、どこか知らない別の宇宙まで飛んでいっちゃうというのは、どう解釈すればいいのかと?

戻ってきたジョナサンが、だんだん神格化されて行って、物語はどこか宗教じみてくるし、どこへ行くんだ? この話は・・・。と、困惑した。

まあ、ある種、好きでやっていたことが、どんどんエスカレートすると、周囲に影響を与え、周りは、彼を神か悪魔か、特別扱いするようになる。ということに対する比喩なのか? その最初の目的が「速く飛びたい」という一点だったというのは、興味深いというか。ラストに登場するアンソニーとの出会いが、ジョナサンの救いだったのだろうかとちょっと思った。

「イザベラ・バードの日本紀行」上巻 イザベラ・バード

読書7.「イザベラ・バード日本紀行」上巻 イザベラ・バード 講談社学術文庫

漫画「ふしぎの国のバード」を読んだ勢いで、原作(と言っていいのかな?)を読んでみる。非常に丁寧に描写された明治日本の情報に感心する。旅をしながら、よくもまあ、こんな詳細に記録をつけることができたものだ。バードさんって、よっぽど筆まめだったんだなあ。と思う。現代の日本人がもはや知らない明治時代の情景が見えるから、歴史を勉強したい人にはお勧めだと思う。

「鹿の王」第4巻 上橋菜穂子

読書6.「鹿の王」第4巻 上橋菜穂子 角川文庫

地球規模の視線で見れば、人間は細菌みたいなもので、国と国との争いごとも、一種の病なのか、怪我なのか、捕食なのか。そうやって、食ったものも食われたものも、いろんな形に変化していく。そんなことを考えました。

「鹿の王」第3巻 上橋菜穂子

読書5.「鹿の王」第3巻 上橋菜穂子 角川文庫

病気との戦いの物語だと思っていたが、もっとマクロな視点で、病気を人為的に起こさせるように働く、後ろ側で糸を引くものが存在し、故郷を追われた人間たちのそれぞれの想いがつづられていく。国が侵略され、今までのやり方が壊れてしまった時、あちらこちらでほころびが出るものなんだな、と思った。

その中で、

「多分。自分にとって一番大切なものを奪っていったのは東乎瑠では、なかったからなのだろう」

というヴァンの想いが、印象に残りました。戦争ではなく、病によって、愛する家族を失った。病こそが、彼にとっては、もっとも憎むべき敵だったのだと。

「鹿の王」第2巻 上橋菜穂子

読書4.「鹿の王」第2巻 上橋菜穂子 角川文庫

「命あるものはみな、いずれ死にまする。大切なのは、与えられた命をいかに生きるかであって、長短ではござりませぬ」

このセリフを見た時に、手塚治虫の「ブッダ」や「火の鳥」「ブラックジャック」を思い出した。この場合、病とたたかう医師の物語で、宗教的なぶつかり合いの部分で出てくるんだけど、獣の血を体に入れてまで生き永らえさせていいのか? 助けられれば、それでいいのか? という問いかけが、物語の中に出てくるところがいい。そういうのを見ると、手塚っぽいなあ。と、なんとなく思い出す。

「鹿の王」第1巻 上橋菜穂子

読書3.「鹿の王」第1巻 上橋菜穂子 角川文庫

疫病の蔓延した世界、が舞台と聞いていたので、このタイミングで読んでみる気になった。第1巻では、まだ病気が冒頭にしか出てこないので、状況説明と登場人物の紹介という感じだけど、さすが上橋先生の世界観の作りこみはすごいと思った。国の歴史から人々の生活ぶりとか、細部に至るまで、丁寧に描写してある。病気についても、ファンタジー独特の語り口で、説明してあるのが面白い。(マスクと言えないから、口覆いと言ったりするあたり)

主人公が二人いるので、物語の展開は、あっちに行ったりこっちに行ったりするけど、どっちの様子も気になるので、続きを早く読みたいです。これからの展開も楽しみにしてます。

「キノの旅−the Beautiful World−」第13巻 時雨沢恵一

読書2.「キノの旅−the Beautiful World−」第13巻 時雨沢恵一 電撃文庫

10年ぶりに「キノの旅」を読む気になって、続きから読んでみたものの、毒気が強すぎて、なんだか後味が悪い作品ばかりで、あんまりおもしろいと思えなかった。