小説・一般27.「神の守り人」上巻・来訪編 上橋菜穂子 新潮文庫
ずいぶんと重いテーマにチャレンジしてきたなあ。と思った。身のうちに神の力を宿し、怒りの感情だけで無差別殺人を行える能力を持った少女。彼女を助けるか、否か。次の犠牲者が出る前に殺してしまうべきなのか?
バルサは何も知らずに彼女を助けてしまったわけだけれど、それほどの危険人物をどうやったら幸せに出来るのか?
異界のものに宿られて、命を狙われるという設定は、「精霊」の時のチャグムと同じだけれど、直接的に害がある分だけ、アスラの背負った宿命の方が重くて、辛い。
そんなに救いのないラストにするわけないだろうと作者の力量に期待しつつ、続きも早く読みたいです。
政治のやりとりを含めて、人間の身勝手さや汚さの部分をこれでもか、とばかりに見せてきたところが好印象。子供向けにわかりやすく描いているけど、きれい事にはしていないところが気に入ってます。次巻を待ちます。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/07/28
- メディア: 文庫
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