星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「GUNSLINGER GIRL」第1,2巻 相田裕

70.「GUNSLINGER GIRL」第1巻 相田裕 メディアワークス電撃コミックス 評価★★★★
71.「GUNSLINGER GIRL」第2巻 相田裕 メディアワークス電撃コミックス 評価★★★★

この作品のポイントは、これ以上ないくらいに漂っている「悲壮感」ですね。
「Gガン」の原稿に書いた「拳が泣いている」の世界。涙こそみせていない、むしろのっぺりした無表情に近い笑顔で、ためらわず銃を撃ち、人を殺していく少女達の中に、ものすごく深い悲しみが見える。

「愛してくれなきゃ、あなたを撃ちます」という脅迫に近い無邪気さに「いつも彼女の尊敬に値する人間でいなくてはならない」という関係を保つ。その上で「でも、そのぐらいしてやらないとな」と言い切るジョゼが好きかもしれない。ついでにジョゼを見守っている人々の構図。「ああいうやつほど、周囲が守らねばならんのだ」その関係性はこの作品の中で唯一の救いかもしれない。

変な話だけど、連想したのは、昔の昭和「サイボーグ009」の世界。♪懐かしい故郷へ、暖かな母の元に、帰りたい。いつの日か〜♪と唄っていたサイボーグ達の悲しみの世界が、現代だと少女になり、涙すらみせずに無表情に近い笑顔になっていくというのは、凄く怖いものを感じます。

淡々として、凄く冷めた印象は、「スパイラル〜推理の絆〜」で自分の腕に致命傷に近い傷を負わせた上で、それでも笑顔でいるひよのちゃんに近いのかもしれません。

秋からのアニメ化で、制作スタッフがこの作品をどんな風に切り取るのかに興味があります。この冷めた空気を上手く表現できるのだろうか? 果たして?