星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ブレイブ・ストーリー」中巻 宮部みゆき

小説・一般9.「ブレイブ・ストーリー」中巻 宮部みゆき 角川文庫

「子供、子供、子供!」「子供だから何だと言うのだ! もともと俺が与えてやった命じゃないか! 子供だというだけで、一生親を縛り付ける権利があるというのか!」

逆説的なんだけど、この本の中で一番印象に残ったセリフがこれ。
子供を捨てようとしているお父さんの言い分のほうに思わずちょっと頷いてしまったかも・・・。

この作品の場合、そうやって父親側の身勝手さを強調しようとしているみたいなんだけど、どうにも私にはワタルくんの方がちっともかわいく見えなくて、むしろ、自分の都合だけで父親を縛ろうとしている息子のほうがよほどわがままなんじゃないのか? という感じがしてしまう。

要するに、物語の最初から父親と息子の関係が希薄で、よく見えないので、息子が父親をどんなに愛していたのか、尊敬していたのか、という部分がさっぱり伝わらないのだ。普段、うちにいなかった父親のことをろくに気にも留めていなかったみたいに見えるので、突然、彼が出て行くと言い出したときのショックというのがどうもよくわからない。

どうなんだろう? 男の子にとって父親の存在って、どのくらい重いものなのかね?
小学生の子供から見れば、両親の比重としては、やっぱ母親の方が重いんじゃないかという気がするし、母親さえいればそれでいい。むしろ、父親なんて邪魔だし、うちにろくろくいないぐらいでちょうどいいとか思っていないか?

にもかかわらず、自分が守ってほしいからというだけの理由で、父親の運命を勝手に狂わせようとするのなら、そりゃ、やっぱりワタルのほうがただのわがままだと思うわけで・・・。

そういう読み方をしている限り、どうにもこの主人公を好きになれないんだわ。そんな彼に対して、やたら親切にしてくれる登場人物の言動がみんな欺瞞に思えて仕方がない。こんな読み方をしていても、ちっとも楽しくないんですけど、読むのをやめたほうがいいだろうかとちょっと考え中。それとも、最後まできちんと読み進めるほうがいいのだろうか? 意外と、私のこの疑問すらも、女神様に会えば、ちゃんと答えを示してくれるのかもしれないしね・・・。

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