第31話「31」
冒頭に「母親になる自信がなかったのかも知れない」というナナのモノローグを入れたのは上手いなあ・・・と思いました。そのせいか、物語中で描かれる奈々に対する言葉のひとつひとつに、彼女のそういう思いが後側に見えた感じ。無責任に子供なんか産むなよって話。それは彼女を捨てた母親への思慕と恨みなんですね。
その一方で、胎児の映像はちょっと強烈に映ったなあ。こうしてみると、やはりせっかく授かった命を殺す「中絶」ってのは、すごく残酷な行為だと思うよ。中絶するくらいなら、無責任にSEXをするな! って方が、正しいんじゃないかという気がする。とは言え、愛し合っている二人にHをするな! というのも残酷な話だと思うので、避妊についてを含めた性教育は、男女とも子どものころからもっとしっかりとやるべきなんじゃないかと思う。
やたらHばかりやっている作品だと思っていたけど、妊娠と出産というテーマを入れてきたのは、いい方向だと思いました。寂しさからHをくりかえせば、その先には当然、妊娠という事態があるわけで、あなたには母親になる覚悟があるのか? とか、男の方にも父親になる覚悟があるのか? を問うた形ですね。この場合は、タクミがノブに突きつけた感じだけれど・・・。
しかし、奈々がみんなに好かれていたのは、実は、あそこにいる彼らがみんな奈々に母親を求めていたからだとは気づかなかったな。奈々は、いいお母さんになりそうじゃん。そんな風に見えるよ。相手がタクミでいいのかどうかは、本当はちょっと微妙なんだけれどね。