全4巻読了。一応、他にまだ外伝があるとはいえ、エリンの物語はこれで終了かな。
「野にあるものを野にあるように生きさせてやりたい」願いは、ただそれだけだったのに。人間の都合でゆがめられた獣たちの生が、かわいそうで・・・。
人々を殺し、王獣も闘蛇も狂わせてしまう災厄の破壊力を見るにつけ、どうしてこうなってしまったのか? と、考えるに、やっぱ、悪いのは霧の民なんじゃないのか? と言う気もする。人間に飼育された王獣と闘蛇がぶつかり合った時、何が起こるのか、どうなるのか、知っていたのなら、エリンにちゃんと教えるべきだったんでしょう。
闘蛇のことも王獣のことも、飼育の秘密として、隠そう、隠そうとするから、わからないから調べようとするものが出てきて、結果、同じことが繰り返される。
どんな知識も伝えていくことが大切で、情報はみんなで共有しなくてはならない。そうすべきだと、物語は伝える。
「精霊の守り人」もそうなんだけれど、知識をゆがめたり、封印したりすることの危険性を、語る。これは、今、必要とされる物語。
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/10
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