「風雲児たち」のマンガだけ読んでいると、高野長英は、若い頃は傲慢でわがままな性格だったのが、牢に入り、逃亡後にだんだん変わっていった・・・という感じに見えたんだけれど、この小説を読む限り、牢に入る以前も、それなりに信奉者はいたというか、結構、そこそこの人格者だったんじゃないかという気がする。
そうでないと、こんなにたくさんの人たちが、みんなで協力して、助けてくれたりはしないだろうという気がする。かくまっただけで、家族共々大罪を犯すことになるというのに、よくもまあ、これだけ慕われて、命がけで助けてくれるものだ。それだけの人望があったということでしょう。
なかなかそれだけの絆を作る事なんて、できないんじゃないかと思えるから、その結びつきの部分に感動させられます。
丁寧に描かれた脱獄後の旅路。季節を追って、秋から冬へ。故郷へ向かった長英が、これからどうなるのか、物語がどこまで描くのか、楽しみです。

- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1989/09/28
- メディア: 文庫
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