星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「長英逃亡」上巻 吉村昭

読書43.「長英逃亡」上巻 吉村昭 新潮文庫

風雲児たち」のマンガだけ読んでいると、高野長英は、若い頃は傲慢でわがままな性格だったのが、牢に入り、逃亡後にだんだん変わっていった・・・という感じに見えたんだけれど、この小説を読む限り、牢に入る以前も、それなりに信奉者はいたというか、結構、そこそこの人格者だったんじゃないかという気がする。

そうでないと、こんなにたくさんの人たちが、みんなで協力して、助けてくれたりはしないだろうという気がする。かくまっただけで、家族共々大罪を犯すことになるというのに、よくもまあ、これだけ慕われて、命がけで助けてくれるものだ。それだけの人望があったということでしょう。

なかなかそれだけの絆を作る事なんて、できないんじゃないかと思えるから、その結びつきの部分に感動させられます。

丁寧に描かれた脱獄後の旅路。季節を追って、秋から冬へ。故郷へ向かった長英が、これからどうなるのか、物語がどこまで描くのか、楽しみです。

長英逃亡〈上〉 (新潮文庫)

長英逃亡〈上〉 (新潮文庫)