読書3.「ご冗談でしょう、ファインマンさん」下巻 リチャード・P・ファインマン 岩波現代文庫
「彼はギリシア語の学位をとるため試験を受けに来た学生に、「真実と美との関係についてソクラテスがどう考えていたか?」とたずねてみた。ところが学生は答えられなかった。そこで今度は、「饗宴の第三部で、ソクラテスはプラトンに何と言ったか?」ときいたら、学生は急に元気になって、ペラペラペラペラ一語一句まちがえずに、すばらしいギリシア語で全部暗誦してみせた。
ところがその饗宴の第三部で、ソクラテスがプラトンに話したことこそ、真実と美の関係だったのだ!」
「彼らはソクラテスの言ったことを一語一句まちがえずに全部暗誦することは出来たが、そのギリシア語の言葉が実際に何か意味を持っているのだ、と言うことには気がついていなかったのだ。学生にとってはそれは、ただの人工的な音に過ぎなかった。学生が本当にわかるような言葉で、それを解説してくれる者は誰もいなかったのだ」
「誰も何も本当には理解していないのに、ただひたすら試験にパスし、次に来る者もまた試験にパスできるように教えるという自己増殖的なこのシステムの中で、いったいどのようにして真の教育が出来るのだろうか、理解に苦しむばかりだ」
印象に残った言葉をメモ。

- 作者: リチャード P.ファインマン,Richard P. Feynman,大貫昌子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/01/14
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 122回
- この商品を含むブログ (171件) を見る