星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「セブン・イヤーズ・イン・チベット チベットの七年」 ハインリヒ・ハラー

読書2.「セブン・イヤーズ・イン・チベット チベットの七年」 ハインリヒ・ハラー 角川文庫ソフィア

非常に読み応えのあるいい本でした。ヒマラヤ登頂のためにインドに渡った登山家が、戦争が始まったために帰れなくなり、抑留されて、自由を得るために脱走し、安全を求めて中立国チベットを目指したその旅の記録。彼らの旅路は、波乱万丈な上に、チベットという独特な文化の紹介にもなっていて、著者と一緒に異世界を旅した冒険物語を読んでいるような気分になった。

著者が、いかにこの国を愛し、この国で過ごした日々を大切に思っているか、文章から伝わる。この素敵な国が、今でもそのまま平和であればよかったのに、と思わずにはいられない。共産中国の侵略に追い立てられるようにチベットを去らなければならなかったラストには、その無念さも伝わってきたし、同じ思いを読んでいるこちらも感じたように思う。