コミック11.「モザイク・ラセン」 萩尾望都 秋田文庫
これも、私の中ではそんなに評価が高くなかった作品なんだけど、今、読むと、普通に異世界ファンタジーだなあ。と思って、面白い。「ダンバイン」よりも前の時代に、異世界物を扱っていて、しかも、我々のいる世界からその世界に呼ばれたものは、向こうでは超能力者になるという設定が、ずいぶんと先見の明があったな。と思う。
第74話「大いなる説得」
サマリン博士、死亡。は、いいけど、戦闘を止めるためにわざわざカルメルさんのところまで出向いたり、そのあと、引き返して、クリンたちのところに戻ったり、色々無理がある状況だなあ。と思った。博士もJ・ロックさんも大変だ。
とりあえず、博士が無理やり動いたおかげで、少なくともカルメルさんは、クリンたちを狙うのをやめたようだし、博士も無事、言いたいことを言いたいだけ言って、死んでいったという感じですね。
今まで見てきたことを参考にして、違う未来を作ってくれ。と、若者たちに告げる物語だというのなら、それはそれでよくできたメッセージなんじゃないかと思います。
「トーマの心臓」を連載させてもらう代わりに、「次は女の子の読者に受けそうなラブコメを描くこと」を約束をして、描いたのが「この娘うります!」だそうで、このタイトルは木原敏江先生がつけてくれたものらしい。萩尾望都作品目録を見ると、たしかに、「トーマの心臓」の次の連載になっているみたいだから、ギャップがすごい。
わたしが萩尾作品をリアルタイムで読みだしたのは、プチフラワーからだからあんまり萩尾望都に恋愛もの、コメディもののイメージがなかったんだけど、こうしてみると、70年代には結構、頑張って、ラブコメを描いているんだなあ。
私はコメディは苦手です。と先生も書いているし、実際、私もラブコメよりは、もっとシリアスなドラマのほうが好みだ。
このコミック文庫に収録されている作品の中で、コメディとして一番楽しく読めるのは、やっぱり「キャベツ畑の遺産相続人」だろうなあ。と思う。なんでキャベツ畑にこだわるんだろう? と思っていたけど、そこは、大泉がモデルなんだな。と、今ならわかる。
第72話「英雄奪回」
第73話「沈黙する指導者」
みんながデロイアの独立はなされた! 戦争は終わったんだ! といって、喜んでいるときに、これじゃ納得がいかないと、広場にあるダグラムを取り返し、博士を救出して逃亡すれば、今度はみんなから恨まれるし、それを理由にして、ラコックさんは、デロイアの治安維持のためには連邦軍を引き上げるわけには行きませんね。と、いってくる。よくできてます。
これじゃ、クリンたちの行き場がない。情勢が変わってしまったことを博士はもうわかっているっぽいし、これ以上、どうしようもない。
70話以上も付き合った人間にだけたどり着く結末かな~。まだ、終わってはいないんだけど、この先、どうするんだろう? と思って、次回を待ちます。