星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ジェニィ」 ポール・ギャリコ

■「ジェニィ」 ポール・ギャリコ 新潮文庫 評価★★★★★

いやあ。私はポール・ギャリコを侮っていました。ただの童話でしょ? と思ってずっと読んでいたんだけど、最後の最後で、こんな大逆転があるとは思わなかった。童話だと思っていたんだけど、実はSFだったのか〜!!

少年がネコになってしまうという物語なんだけど、逆に考えれば、世界にいるネコが実は人間かもしれないという構造も成り立つわけで、これはもはや、神林長平の世界ですわ。(逆か? 神林がこの作品に影響を受けたのか? いや、もうどっちだっていいけどね)

ずっと物語を追いかけていくと、少年はネコになって様々な冒険をする。船に乗ってみたり、別の町に行ってみたり、誘惑されたり、ケンカをしたり、それだけならただの童話だったんだけど、その冒険の果てに待ち受けていた、世界が一度ひっくり返るような終幕。これがすごかった。

それじゃあ、物語の最初からずっと一緒にいたあのジェニィというネコは一体なんだったの? と思わせられたけれども、その答えはもう物語を読み終えた読者の心の中にあるんですね。しかも、それがタイトルにまでなっているという・・。そこまで計算して作られたストーリーだったのか。いやあ、マジで感心しました。

なるほど、名作として語り継がれているわけです。「すべての猫好きな人々に贈る大人の童話」ですので、ネコ好きな方はぜひどうぞ♪ 面白かったです!