第20話「永遠の少年」
そこそこいい話だと思うけど、どうも子供たちが空を飛んだシーンのリアリティのなさに、いくらなんでもこれはやり過ぎじゃないか? と思っちゃったので、個人的にはかなり大きくマイナスだった。
人は、そう簡単に空を飛んじゃいけないのだ。飛べないからこそ、空を飛べるアトムに抱きかかえられて飛ぶシーンに感動するのではないか?
「ピーターパン」をやりたかったのはわかるけれど、「妖精の粉」で空を飛べるのは、あくまで「そういうお話」だからであって、「アトム」の世界でそれをやっちゃいけないと思う。何らかの形で集団幻覚を見せていたというのならまだ理解できるんだけど、実際に「子供たちが空を飛んでいたという目撃情報」まで出ちゃったら、やりすぎだと思う。
あと、足の不自由な少年だけ、何故空を飛べなかったのか? という疑問も残るし・・・。一番空を飛びたがっていたのは、彼ではなかったのか? という気もするので・・・。
とは言え、これも脚本が直された結果、せっかくの伏線が生かされなかった実例だろうか? という気がするのも確か。放送されたフィルムからだと、彼だけが何故ネバーランドへいけなかったのか、その理由がわからないからね。
しかし、車いすを簡単に「空を飛べる」仕様に直しちゃうアトムには、子供だましの感をぬぐえない。子供向きだからその程度でいいと考えているのなら、大間違いだと思うんだが、そうでもないのかねえ・・・?
「ウェンディは、大人になったらピーターパンのことを忘れちゃったかな?」
「そんなわけないよ。大人になってもピーターパンはウェンディの友だちさ」
「俺たちも同じだよ、アトム」
多分、最後のそのセリフを言わせるために、今回の物語は作られたんだと思う。永遠の少年であるピーターパンとアトムを重ね合わせた発想は非常にいいし、好きなんだけど、決して大人になることが出来ないアトムの哀しみがもう少し丁寧に描かれていたらなあ・・と思うと少し残念でした。
【補足】
しかし・・この作品のスタッフはさりげに豪華だなあ。今度は演出に平田敏夫さんが来ていたのか。あるいは、私が気づかなかっただけで、いままでのスタッフにも昔ながらのメンバーが投入されていたんだろうか?
今回の大物ゲスト声優は、滝口順平さんだったし。・・・すごいなあ。