星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「ポプラの秋」 湯本香樹実

23.「ポプラの秋」 湯本香樹実 新潮文庫 評価★★★★

「夏の庭」ほどの大感動はなかったけど、それでもラストにはじーんと来るものがあった。6歳の時に父親を失った少女。
引っ越し先のポプラの庭があるアパートで、大家さんであるお婆ちゃんに「死んだ人宛に手紙を書いてごらん。私が死んだ時、届けてあげるよ」と誘われる。

そうやって、書きつづられていく手紙。面白いのは、これは父親と娘の話じゃなくて、母親と娘の話になっていること。あくまでも娘視点でつづられているから気づきにくいけど、夫を失ったお母さんの悲しみがにじみ出ていて、そこに感動させられます。特にラストシーン。お母さんが書いたお父さんへの手紙。そこで娘が初めて知る事実があること。

大人というのは、いくつも秘密を隠し持っているものなのだな・・・と思わされました。決して子供には語ろうとしない胸の内があるものだと言うこと。いい作品でした。

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