小説・一般14.「つきのふね」 森絵都 角川文庫
「オレ、ほんとうに月の船が来ればいいなって思ったんだよ」
「・・・」
「ほんとに月の船が来ればいいと思ったんだ」
月の船が来れば、人類を脱出させる宇宙船なんて、作らなくてすむから・・・。そういう想いが、なんだか切なくて、泣ける物語でした。
ある事件がきっかけで、親友との仲がこじれてしまった中学生の女の子。お互いに相手を避けるようになって、もう一ヶ月以上経つ。その二人の間を取り持とうといろいろ画策するおせっかいな男の子。
自分が傷つきたくないばかりに、相手を傷つけていることに気づかない少女たち。その心理を見事に掘り出していると思いました。
あさのあつこや森絵都を含む児童文学系の作家が書いているこのジャンルをヤングアダルトと呼ぶというのは、今更ながら、初めて知ったかも? 読んでみると、意外とはまるものだなあ・・・と思いました。
私の心理が中学生並みと言うことかもしれないけどね。
ただ、こういう人間関係をテーマにした作品は、純粋な若さがある分、ある程度歳を食った大人が読んでも素直に感動できるんじゃないか? という感じがします。
少なくとも、一歩前に踏み出す勇気は与えてもらったような気がします。いい作品でした。人間関係に悩んでいる人に、おススメです♪