星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「理由」 宮部みゆき

小説・一般17.「理由」 宮部みゆき 朝日文庫

素晴らしかった。長い小説なので、読むのに若干時間はかかったけれど、その分、密度の濃い内容で、読み応えたっぷりに読ませてくれました。

ある殺人事件が起きて、それをルポライターが追いかけて、事件の関係者から潤に話を聞いていくというインタビュー形式でつづられているけれど、その関係者の数って尋常じゃないし、彼ら一人一人にまつわる家族の物語をしっかりと作り上げているのはさすがとしか言いようがない。

これだけの設定を作り、キャラクターを一人一人生き生きとした人間として、丁寧に描写していくことが出来るのは、さすがに宮部みゆきの筆力だなあ、と感心した。

様々な家族の姿と、そこに浮き上がってくる問題点を見て、あああ、その気持ちもよくわかると頷くことがしきりで、だんだん「家族ってなんだろう?」といろいろ考えさせてくれました。

これは本当にすごかった。読んでよかったとしみじみと思える名作だと思います。今年のナンバー1候補に選んでもいいかもしれない。今更だけどね。