星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「華岡青洲の妻」 有吉佐和子

小説・一般38.「華岡青洲の妻」 有吉佐和子 新潮文庫

これは面白かった。麻酔薬を発明するために、自分の母と妻を人体実験したという華岡青洲だけれど、そこに繰り広げられる嫁と姑の戦い。なんかもう、女の戦いの部分が生々しくて、迫力でしたね。しかとと嫌みと嫌がらせと。そういうやり合いの部分、いちいちリアリティがあるのはさすがの筆力。妻の視点で書かれているにもかかわらず、姑の気持ちの部分にも、伝わるものがあるのは上手いなあ、と思いました。何故、この人は、こういう言い方をしたのか、という点で。

昭和文学の真髄を見た気分。女性に特にオススメの1冊です。