星の原休憩所

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「こんにちはアン」上巻 バッジ・ウィルソン

小説・一般26.「こんにちはアン」上巻 バッジ・ウィルソン 新潮文庫

アニメ版は第1話だけで切ってしまったので、それ以降は未見です。

赤毛のアン」で少しだけ語られたアンの過去話を元に、別の作家が執筆したという、アンの過去の物語。

生まれて三ヶ月でみなしごになったときのことを「その頃でさえも、私を欲しいと思う人は一人もいなかったのよ」とモンゴメリ版では語っているのだけれど、実はそうではなかったんだと、そう言う書き方をしているところに、この物語の救いを感じます。

モンゴメリ版では、アンの過去にあまりに救いがないから、彼女を助けてくれた人物もちゃんといたのだと、そう言う意図で書かれているように見えました。

食器棚のガラス戸に映った自分自身の影を、友達と呼んで、彼女とおしゃべりすることで、辛い日々を紛らわせていたエピソードなど、具体的に書かれると、どこか精神病的だよなあ、と思いました。

アンの必要以上におしゃべりな性格は、あるいはそこから来ているのかも知れないと、ちらっと思いました。長い間、話し相手がいなかった分、話し始めると止まらなくなっちゃうあたりが、なんとなく、そんな感じ。

引きがよかったので続きも楽しみです。

こんにちはアン〈上〉 (新潮文庫)

こんにちはアン〈上〉 (新潮文庫)