初読は中学生の時。「あすは檜(ひのき)になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって! それであすなろうと言うのよ」このセリフが強烈な印象を残し、40年経っても忘れられなかった。
もう一度読み返してみたいと思っていて、やっと実現したが、今度は、「だって、貴方は、翌檜(あすなろう)でさえもないじゃありませんか! 翌檜は、一生懸命に明日は檜になろうと思っているでしょう。貴方は何になろうとも思っていらっしゃらない」このセリフが、印象に残った。
そうすると、世の中には、ひのきとあすなろうとあすなろうでさえないものがいるんだなあ。と思う。中学時代の私は、翌檜だったかもしれないが、今はそれですらないし、それでいいんだと思ったよ。