星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「妖の寄る家」 宇河弘樹

■「妖の寄る家」 宇河弘樹短編集 少年画報社ヤングキングコミックス

思いの外、面白かったです。正直、「朝霧の巫女」を読んだときには絵はなんだか下手だし、ストーリーもありがちな巫女さんを使った妖魔退治テーマ程度にしか思わなかったんだけど、同じあやかしが出てくるストーリーでも、舞台を昭和初期に設定するだけでぐっと味わい深くなった感じです。
朝霧の巫女」の方は、なまじ平成の現代日本が舞台だから、あやかしが出てきてもリアリティの面で嘘っぽくなって、物語に入れなかったからもったいなかったですね。
この作家の独特の味は、この短編集にあるように少し古い時代の民俗ものか、いっそSFにした方がうまく出せるのかもしれない。

3部作程度で終わらずに、天津忠明とこまのシリーズとしてこのまま続けて欲しかったですね。意外とこの二人に注目して「朝霧の巫女」を読み直せば、もう少し楽しんで読めるかもしれない。
これから「朝霧の巫女」を読んでみようと思う人は、まずこの短編集を読むべきだと思います。