小説・一般25.「鏡の中の鏡 迷宮」 ミヒャエル・エンデ 岩波書店同時代ライブラリー
これは面白かった。正直、最初のうちこそ、読むのが辛くて、何度も放り出そうかと思ったんだけどね。
悪夢を見ているような、内容があるのかないのかわからないような、変な短編が30本も続く短編集なんだけど、最後まで物語をたどると、最初の物語にきっちり辿り着いた・・・と言う部分に感動した。
悪夢を見ているような話だと思っていたけれど、これは本当に誰かの夢だったのか・・・。物語の解釈は様々でいいと思うけれど、最後まで読んだときに、何かが見えたような気がした。それを説明するのが上手くできないから、もやもやするんだけど・・・。
夢を見ることによって、自分の内側に入り込んで、その夢を渡っていくような物語でした。確かに、夢の中は、自分を映す鏡が何重にもなっている迷宮のようなものだろう。上質なファンタジーとして、素晴らしかったです。
ただ・・・。この内容を人に薦めるには、相手を選ぶかもしれないなあ、とは思いました。エンデ初心者だと挫折する可能性は高いと思います。実際、私は一度読もうとして、挫折しましたから。以来、18年も実家で積まれていたのを、GWに帰省したときに見つけて、持ち帰ってきたのです・・・。