星の原休憩所

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「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」 カレル・ヴァン・ウォルフレン

読書35.「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」 カレル・ヴァン・ウォルフレン 角川ソフィア文庫

個人的に昔から感じていたことだが、「いまの日本は、十分に便利になったのだから、これ以上の産業発展は必要ないんじゃないのか?」ということで、そんなに何でもかんでも、細かく細かく便利に、使いやすくしなくても、少しぐらい不自由でもいいじゃないか。なんで電化製品でもなんでも、至れり尽くせりなんだろう? 余分な機能を省いて、その分、安くしてくれた方が助かるじゃん。

この本を読んで、納得したのは「無限の経済発展が国策になっている」という事実で、遠い昔に決められたことを、律儀にずーっと守って、そこから逸脱することを許されないところにまで、がんじがらめにされていると言うことだ。

一方で、誰がそんなことを決めたのか、この国の方向性を決める舵取りって、誰がやっているんだろう? と、前から気になっていたんだけれど、実は誰もいないんだと、この国は、自動操縦運転で運営されて、とにかく軌道がずれないように、ひたすら修正だけされているんだと、指摘されていて、これも非常に腑に落ちた。

政治家よりも官僚、官僚制度に問題がある点を指摘して、官僚には、説明責任がないからやりたい放題になるし、政治家がせっかく国の舵取りをやろうと頑張っても、ありとあらゆる邪魔が入り、そうはさせないようになっている。国民の側も、それをよく見ないとダメだ。国民は、政治家しか選べないんだから、選んだ政治家に頑張ってもらわないと、政治家の悪口ばかりを言って、足を引っ張り合って、追い落としている場合でもないのである。

国際情勢が変わったというのに、まだアメリカに頼ろうとしているこの国の方針を変える必要があるのに、現状維持を続けたがる人々は、その邪魔ばかりをする。自動操縦運転の行き先が、先の見えない地獄にまっしぐらでないことを祈りたい。

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム (角川ソフィア文庫)

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム (角川ソフィア文庫)