「エリン、そなたは賢い。見ようと思えば、この世の構図の隅々まで見えるだろう? 冷静にそれを見よ。そうすれば、そなたになにができて、なにができぬのかも見えてきて、平静な気持ちで、運命に従うことが出来るだろう」
印象に残った言葉をあえてメモ。悪役のセリフのはずなのに、やけにかっこいいんだ。
昔読んだ時よりも、平静に見ることが出来て、非常に面白かった。私もこの世の構図の隅々まで知りたいものです。見えればいいんだけどなあ。知る努力は怠りたくないですね。この物語は、その一部をかいま見せてくれたようでした。この世を縛っているものが何かを。
「人は、獣は、この世に満ちるあらゆる生き物は、他の生き物を信じることができない。心のどこかに、常に、他の生き物に対する恐怖を抱えている。だから、己の生を消されぬよう、他の生き物を抑えるために様々な工夫を凝らし、様々な拘束の手段を生みだしてきたのだ。
武力で、法で、戒律で、そして、音無し笛で、互いを縛り合ってようやく、わたしたちは安堵するのだ・・・」

- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/12
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