星の原休憩所

映画、アニメ、読書など、趣味の感想記録です。

「翔ぶが如く」第10巻 司馬遼太郎

読書4.「翔ぶが如く」第10巻 司馬遼太郎 文春文庫

全10巻、読了。一昨年の11月から読み始めたから、1年半近くもかけてせっせと読んでいたけど、ようやく読み終わりました。時間がかかったけど、読み終えて満足。長かった西南戦争がようやく終結したし、西郷隆盛も死んだ。大久保利通も死にましたよ。一つの時代が終わったのを一緒に目撃した気分だ。

こうしてみると、上野に西郷隆盛銅像が立っていることの異様さを、今更ながらに感じる。解説にもその説明があったけど、反政府運動の首謀者にも関わらず、銅像が立っているんだから、それだけ西郷さんというのは、みんなに愛されていたし、一つの時代の象徴だったのかもしれない。

大久保利通が、殺されたときに西郷の手紙を持っていたというのは、以前に聞いたことがあって、それ本当ですか? 何かのネタじゃないのか? と思っていたが、「西郷の伝記を書いてほしい」と人に頼んでいたという話が出てきて、切なかった。「自分が話さなければ、彼のことが後世に伝わらない」と。

そう言いながら、自分が狙われていることを知りつつも、護衛は一切つけずに、天命に任せると語っていた大久保さんも、もう死んでもいい覚悟を決めていたというようにも見える。後を追うように殺されちゃって。だから、この二人の物語が、悲しかった。